【往還集124】15 第15回ことばの祭典

「第15回ことばの祭典」前列右が、短歌ゲスト選者の小島なおさん。

昨日は仙台文学館恒例のことばの祭典。短歌、俳句、川柳が同じ題で即詠(吟)する催し。
レギュラー選者は高野ムツオ氏、雫石隆子氏と自分。それにゲスト選者を毎年お招きする。短歌のゲストはいきなりの若手で、小島なおさん、26歳。
今年は3枚の写真を展示しての印象吟。例年とかわらぬ多数の人々が参集し、新課題にとまどいながらも熱心にとりくむ。
やがて選考の段階になる。まず全体から各人が10首選び、両方を照らし合わせる。
するとふたりの重なるのはひとつもなかった。15回やってきてこんなことははじめて。しかもなおさんの選んだのはなかなかいい作品だ。どうして自分は読み落としたのだろう。たとえば、

深呼吸せよと言う声紫陽花のほとりにあわくひらくおもかげ

自分は内心ショックをうけていた。こちらの感覚に錆が生じてしまったにちがいないと。引き際をそろそろ用意しなければと。
(2012年6月17日)