【往還集124】13 誤植は出版の華

「路上」に連載してきた「宮柊二」が、この5年間で550枚ほどになった。『山西省』論をやりたくてはじめたのに、序論段階だけでこの始末。いつ終わるか見通しが立たなくなった。とりあえず「柊二初期および『群鶏』論」としてまとめることにした。出版の依頼先は、宮柊二に最も詳しい柊書房さん。
その著者校を今日終了する。引用文がいっぱいあるので、全てを原典と2度照合。「路上」連載のときも2度、原稿として送るときも2度、今回もまた2度した。
それでも誤植が見つかる。さすがに回ごとに少なくなるとはいうものの、完璧の域には達しない。一字見つけるたびに、がっくりする。
もっとも、こういう体験は今回にかぎらない、出版するたびに味わってきた。他の人も同じらしく、なかには「誤植は出版の華」と豪語する人もいる。
それはそうだが、なぜ完璧から見放され続けるのか、不思議でしかたがないのだ。
(2012年6月5日)