【往還集123】8「支え合う松」

荒浜、貞山堀に立つ「支え合う松」
荒浜に建立された慰霊塔

 寒冷がつづく。今朝は-8度。これでは仮設住まいはつらい。水道凍結もつぎつぎに起きているという。
 そんな今日、一人、荒浜へ。浜辺近くに、慰霊塔が建立されたと聞いていた。東部道路をくぐると、急にだだっ広くなり、瓦礫を運ぶダンプが行き交う。倒木の伐採工事がはじまっている。
 慰霊塔は立派に出来ていた。用意した花束をささげ、黙祷する。
 今日は、海に近い道をたどる。破壊された建物や機器が投げ出されたまま。手つかずの個所は、まだまだあるのだ。貞山堀沿いに松の並木があったが、ほとんどが流されている。と、二本の松の構図が目に入る。倒れそうな細長い幹を支える、もう一本の松。瞬間、「支え合う松」の名称が浮かんだ。太平洋をまえにした龍の形の松が評判になっている。あれは神割崎。荒浜は、これでいこうと自分は独語する。評判になどならなくていい。人知れぬ独語だけで、けっこう。
(1月25日)