【往還集123】7「HUDSON(ハドソン)」

色鮮やかな花の壁画
お気に入りの、大テーブル

 どうも筆がうまく運ばない、凡々たる発想しか出てこない、わが才もここどまりか。
こんなふうに落ち込むことがある。気分転換が必要。
 立ち上がる。
 靴をはく。
 歩いて15分のところにある「ヒルサイド」へ。一階にレストラン「HUDSON(ハドソン)」。大型客船のシェフだった若月さんが経営する。味が抜群で評判がいい。
扉を開けると、色鮮やかな花の壁画が、まず目に飛び込む。白いレースのカーテンが、野をわたるそよ風のようだ。入ってすぐ右側、大きな木のテーブルがある。自分のお気に入りは、ここ。コーヒーを注文し、ぼんやりと飲む。
 このレストランができてから、17年になる。はじめの名は「ブランメル」。そのときから自分はこのテーブルを偏愛してきた。なぜって、広くて、木の手触りがよくて、ほっとさせるから。
 こうして少時の休息ののち、またしごとへもどっていく。それだけのことなれど。
(1月23日)