【往還集122】38「ヨンア」

 書店に入ってファッション誌のコーナーに来ると、数の多さ、色の多彩さには目がクラクラする。表紙も美女の競演で、ほとんど甲乙をつけがたい。
 ところが、いつのころからだろうか、一冊の表紙に吸い寄せられるようになった。
「Oggi」。
 この雑誌の編集長は鈴木深。彼はファッション誌が付録屋に変わり果てたことを嘆く。そのことを以前の「往還集」にもとりあげ、志やよしと書いたことがある。今度は表紙が気に入って、毎月のように買いはじめた。
 表紙のモデル名が、ヨンアだと知る。このヨンアさん、ただ美人というのではない、どこか鋭利で透明で、大人っぽさがありながら童女性もある。
 こういふ風貌は日本人にはなかなかない。と思ってパソコンや新刊本『ゴー!ゴー!ヨンア』で調べたら、韓国出身だった。
 そうか、やはり。
 自分流に表現するなら、〈歳時記〉臭をまとわない美ということになる。
(12月24日)