【往還集121】13「大川へ 3」

大川小学校 二階建て校舎が津波に呑み込まれた。
コンクリートの柱も、波の力で薙ぎ倒された。

 しだいに破壊された家屋、腹部をさらした船が見えてくる。その先に校舎が現れる。生徒数108人、死亡68人、行方不明6人、教員数11人、死亡9人、 行方不明1人。7割もが亡くなった大川小学校だ。全体の造りがとてもモダンな、二階建校舎。それが丸ごと波に呑まれ、太い柱も折れ曲がってしまった。校舎 入口には、慰霊の花・千羽鶴・ぬいぐるみがいっぱい供えられている。自分も用意してきた犬のぬいぐるみを供える。それから、教室へ入る。かなり片付けられ てはいるものに、個人の棚には泥にまみれた教科書・運動靴・学用品が残されらまま。持ち主は、もういない。先日訪れた荒浜小学校の破壊ぶりにも息を呑んだ が、多数の子らが助かっている。それに比してここは、ほとんどが帰らぬ人となった。この、あまりにも大きい違いに、胸がしめつけられる。今は、隅々にまで 目をやり、しっかりと記憶に刻んでおくほかにない。
(2011年7月11日)