【往還集122】30「朝刊・続」

 とにかく寝よう。明日からのために、少しでも体力を確保しよう。
眠剤を飲む。
 こういうときに限って効かない。明け方になって、やっとうつらうつらしはじめたころ、バイクの音が。
 エッ、新聞?大災害に巻き込まれているのは新聞社も例外でないから、とても刊行できるとは思っていない。だのに、いつもの時間に新聞は配達された。我が家 では「河北新報」と「朝日新聞」を購読している。届いたのは「河北新報」だけだが、そのとき「この世に捨てられていなかった!」という、えもいわれぬ安堵 感を覚えた。
この地区の配達員は、中西さんという。近所の人で、顔も見知っている。彼はただ配るだけではない。見慣れない怪しい車をチェックしてくれる。大雪のときはポストの周辺の除雪までしてくれる。その中西さんがいつも通り、配達してくれた。
 同じような配達員が、各地に何人もいたということをこの本で知った。
(12月4日)