【往還集122】28「千体仏」

 この11月はいつになく疾走した感がある。「全国宮沢賢治学生短歌大会」「ミヤギノハギ短歌表彰式及び記念植樹」もつづいた。こちらが倒れたら他の方に迷惑をかけると、節制につとめていたが、無事に終わった。
 ほっとした目に飛び込んできたのは、仏像展のチラシ。仙台博物館の「仏のかたち人のすがた」。
 よし、これに行こうではないか。
 仙台を中心とした仏像だから、いわば目玉商品があるわけではない。それでも一つ一つには時間とともに、何かが籠められている。なかに満蔵寺所蔵の「千体仏」があった。病人や怪我人の身代わりにしたという、ごく荒削りな小さな仏像たちだ。どう見ても名人の作ではない。時間をかけずに一気に彫り上げたという感じだ。だからかえって、表情が多彩でおもしろい。館内は撮影禁。手帳を出してスケッチするうちに、親しげに語りかけてくれている気がしてきた。
(11月29日)