会場に集まったのは、50人ほど。震災詠を送ってくれた当人だ。まず、こちらが入選歌について簡単な評をする。そののち、町永アナウンサーが参加者にインタビューする。たちまち2時間半は過ぎる。
なにしろ、一つ一つが生死と直接かかわる、かけがえのない体験談だ。こちらもいつしか活字だけで読んだり鑑賞したりするのとは別の、濃密な思いがわいてくる。短歌が作り手の肉体性と密接する表現形式だからなのだろう。
海辺の高校生から送られた数首を紹介してみよう。
死に顔を「気持ち悪い」と思ったよ ごめんじいちゃん ひどい孫だね(畠山海香)
ここにいたここにあったと思い出が泣き声上げる東北の秋(今野莉奈)
『家なき子』笑って話す友人にかける言葉が見つかりません(本宮花子)
恐怖する「慣れって嫌だ」と呟いた瓦礫の街に見慣れてしまい(岩渕円花)
(11月14日)