【往還集121】39 「羽山橋」

秋保、羽山橋の渓谷。

秋保温泉の西方奥に、かんかね神ヶ根温泉のあることはまえも書いた。そのすぐ下にははねやま羽山橋がある。切り立った崖と、大岩をぬって走る渓流。ふたく ち二口峡谷を水源とし、らいらいきょう磊々峡へとつづく。ここも自分のお好みの場所。で、お盆期間にも行ってみる。驚いてしまった。ふだんは水と風と小鳥 の声だけなのに、山道に五十台以上の車が並び、いっぱいの子どもたちが水着姿で遊びに興じている。その歓声よ。これは猛暑のせいだけではない。福島・宮 城・岩手の海水浴場は使えない、プール施設もほとんど閉鎖状態だから、せめて水遊びできるところとして、ここを探しあてたのかも。震災の影響は、山も無縁 ではなかった。夏休みも終り、九月に入った今日、再び行ってみる。芋煮会の若いグループ三組が炊飯をしているのみで、いつもの静けさにもどっている。水の 輝き、水の匂い、水の感触。これがいつもの羽山橋渓谷。夏の間、ご苦労さん。
(9月7日)