【往還集124】8 金冠日食

仙台市天文台に朝からつめかけた、大勢の観察者。
天文台の中では、各地の日食を放映。京都で金冠になった瞬間。
窪田空穂の歌集を少しずつ読んでいるが、今日の『丘陵地』に、

「一世紀一回といふ皆既蝕雲いできたり見えざりしとや」

があった。これは1955年のこと。雲にさえぎられて見えなかったようだ。この歌にぶつかった偶然で、心配になってきた。なにしろ空は薄曇りだ。
それでも近くの仙台市天文台には、7時前というのに老いも若きもつめかけている。なにしろ932年ぶりの金冠日食だ。こちらも朝食とトイレもそこそこに駆けつける。室内の大スクリーンには、各地の日食が映し出される。
7時20分過ぎ、ついに完全なる金冠。大きなどよめきと拍手。ただしこれは京都の映像。仙台は9割の部分日食。それでも空全体が怪しげに曇り、にわかに気温が低下してきた。
「十和田観光」の大型バスも来ているではないか。わざわざ青森からと驚いたら、仙台観光と日食がたまたまぶつかり、予定にくり入れたのだそうだ。
(2012年5月20日)