【往還集124】2 「セロ弾きのゴーシュ」

「鹿踊りのはじまり」につづき、今日は「セロ弾きのゴーシュ」の下調べ。手持ちの文献を山と積み上げ、必死になって。
この作品は楽団にうまく溶け込めないゴーシュが、ネコ、カッコウ、タヌキ、ノネズミの訪問を受け、10日かかって腕を磨くというストーリィ。子どもたちにも人気がある。 しかし成立はそう単純でない。推敲は何度もくり返されており、その期間は1926年から33年と推定される。33年とは賢治が亡くなる年だから、最晩年まで取り組んだ作品ということになる。主人公名も、「テイシウ」「ゴーバー」「ゴーシュ」と変化する。さらにこの童話には、賢治の全音楽体験がこめられている。
そこで今回は実際に仙台フィルのチェロ奏者山本純氏をお招きして、関連作を演奏してもらうことにした。期日は7月5日(木)。プロの〈なまチェロ〉を聴きながらとはなんと贅沢な。今からわくわくしているのは私です。
(2012年5月11日)