【往還集123】34 花見山

「花見山」色さまざまの花が山いっぱいに咲いている。
「花見山」放射線量が掲示されている。

福島市の花見山へ去年は行けなかった。今年こそはとねらっていて、好天の今日行ってきた、桜満開にはあと一歩だが。
駅からバスで15分、ちょっとした郊外に位置する。1935年ごろから花木が植えつづけられ、いつしか桃源郷のような山なだりとなった。ソメイヨシノやヤエザクラはあと数日だが、レンギョウ、ボケ、ヒガンザクラ、ウメ、サンシュユその他が満開。黄、赤、白、桃、緑が壮大な規模で織り重なる。平日ながら団体さんも次々にやってくる。
この美しく、平和な風景。なにごともありはしなかったようだ。
が、途中に放射線量が表示されている。今日は、0、88マイクロシーベルト。そして民家近辺では、作業服を着た二人が水を鋭く放射させている。除染作業中なのだ。
目に見えない魔性のもの、そして目のまえに繰り広げられる桃源郷。
この両者の在りようをどのように説明したらいいのだろうか。
(2012年4月16日)