【往還集146】13 交流

仙台の高校に転勤し、数年後に生徒指導部に所属しました。
事件・事故には数多く対面することになりましたが、意外だったのは戦前・戦後などと無縁のはずの生徒たちに、在日の人への蔑視があることでした。
仙台には朝鮮学校があります。両校のツッパリグループはたびた衝突し、補導されていました。
「なにがそんなに憎いのだ」と当の生徒に聞くと、「なんだか知らないけれど、なんとなく」と応えるのみ。
もっとも教師のほうも相手校の実態がわからない。
私は生徒部全員で朝鮮学校の訪問を提案し、実現することができました。
学校は八木山の雑木林のなかにあります。校舎見学、授業参観、先生たちとの座談。
この教師同士の交流が生徒間にも伝わったのでしょう、こちらが不思議に思うほどに衝突は消えていきました。
そればかりか朝鮮学校のサッカー部を招待し、放課後の校庭で交流試合をすることもできました。
(2019年9月12日)