【往還集146】1 明日待子(あしたまつこ)

拙作に「いつの間にか視野より消えしタレントが今朝よみがへる訃の人として」があります。
有名人もいつかは忘れ去られ、ある日訃報欄で「こんな人がいたんだ!」と思い出されるという意味。
今朝の「朝日」(7月24日付)にその体験をしました。
明日待子、もと「ムーランルージュ」の人気女優、99歳で老衰死。
私は「あしたまちこ」と覚えてきました。幼少年期の前沢時代、隣は警察署長官舎。そこに少女時代の本名須貝とし子も移転してきて、同じ年の叔母フミと仲良しになりました。
後にスターになり前沢に公演に来たとき、旅館でなく母の実家に泊まりました。
幼い私はこっそりのぞきこみに。
流しで歯を磨き、うがいをしていました。垢ぬけしたブラウスにスカート姿。田舎家にはいかにも不似合いですが、そんなことを気にとめている風でもありません。
スターを目のまえにしたはじめての日でした。
(2019年7月24日)