【往還集145】28 神山睦美という批評家・続

そのなかの1点を「推進力としての不安と怖れ」から紹介します。
近代科学の発展は、量子力学と宇宙物理学によって頂点に達する。宇宙のほうは、ガリレオやニュートンにより「宇宙における自己の存在を極めようとして」進められる。だが広大なシステムとして認知すればするほど、自己存在のあてどなさに気づいていく。にもかかわらず実験を進めずにいられなかったのは「心の奥に隠された不安や怖れを鎮めずにいられなかったから」だという。
私は小3のとき父親に『星の世界』(辻光之助 小峰書店)を買ってもらい、今でも保存しています。
それが宇宙を知り、同時に人間の卑小さを知るきっかけとなりました。
かの有名なガリレオたちもこの難問にとらわれたのだとやっとわかりました。
このような根源的な問題の数々に神山睦美は正面から挑戦している。「往還集」の場ではとてもおさまらないので、ここで切り上げます。
(2019年4月8日)