【往還集145】23 抽象思考・続

この2点はわれわれの時代の中心的問題であり、「同じ問題を彼よりも優雅に解いた思想家はいなかった」と加藤は高く評価しています。
以下、詳細な読解はくり広げられ、こちらもいつの間にかサルトルを読んだ気にさせられていきます。
しかし本を読みもしないのに読んだことにしていいのでしょうか。
それは当然ダメ。近いうちに手に取って再挑戦してみます。
抽象思考に苦手意識を持って自分ですが、「そういうことだったのか」とわかってきた例が他にもあります。
俳句作者の富澤赤黄男もその一人。『默示』は超難解句集とされてきて、事実私も苦戦の連続でした。ところが東日本大震災をくぐった眼で再読したとき、これらは写実句そのものではないかと目を見張りました。

「枯木がひかる わたしの中の風と雪」

大海嘯にいたぶられた海の景そのもの。これはどういうことだったのかと、最近またくり返し考えています。 
(2019年3月24日)