【往還集144】15 微妙な境界

75歳が微妙な境界線だと気づいたのは、最近のことです。
これまで高校3年のときの虫垂炎手術以外、入院体験を持たないできました。こまかいトラブルはいくらでもあり、とても頑健とはいえませんが、いつの間にか60を越え、70も半ばを越えていました。
一般検診を受けても、結果はほとんど異常なし。
この年齢でどこもひっかからないなんておもしろくないと、オプションでPSAつまり前立腺がんの検査も受けました。
4歳下の弟がこれに引っかかったという情報があったからです。
すると私も見事に〈当選〉してしまいました。
結果をまえにしたときの私の気持は「とうとう死の芽をはらんでしまったか」という驚きの反面、安堵もありました。
人は誰もがいつかは死ぬ、しかし何によって死ぬのかわからないという漠然とした不安を持っていましたが、やっと形が与えられたのです。
そこからくる安堵あるいは納得。
(2019年1月22日)