【往還集144】1 晩秋の湖

葉を落としつくした月山池。

私の定点観測地のひとつは、月山池とサイカチ沼。「往還集
には何度も登場しています。今日もまた性懲りもなく書きます。
雪はすでに数度降り、ほとんどの樹木も葉を落としました。
なかで、かろうじて葉を付けているのはブナの木。
色はすべて茶褐色。
その葉全体が、シャラランシャラランと鳴るのです。
はじめ枯葉とは気づかず、このハープのような音色、どこから来るのだろうと不思議でした。
湖のほとりのベンチに腰かけ耳を澄ますうちに、ブナの葉だと気づきました。風が過ぎるたびに、妙なる音色を奏でるのです。
すぐ近くの空中にはキラリキラリと光る線状のものが。
よく見ると日差しに照らし出されるクモの糸でした。
自然のハープの糸と音色。
それに、さざなみとカモの声もまじります。
こうして今年の秋も終わり酷寒の季節へとまっしぐら。
芽吹きのときまで、みなさんさようならというわけです。
(2018年11月26日)