「39」に短歌の話題は「往還集」からはずすと書きましたが印象にのこったことはやはり書いていきます。
第61回短歌研究新人賞が9月号に発表になりました。受賞者は工藤吉生と川谷ふじの。
川谷さんの「受賞のことば」を読んでからずっと気にかかっていました。
高校3年生での受賞。
「青春の感じがよく出ていて」の反応に
「諦めのような気持と悔しさでたまらなくなりました」
「私は青春という概念が嫌いです」
とある。
私はこの反応が痛いほどにわかるのです。高校生といえば青春まっただ中、女学生といえば制服とミニスカ。
そういう外部からのイメージに対して、現にそこに置かれている自分自身はいかに〈別物〉であるかを川谷さんは語っています。
だのに、青春の記号をどこかで利用しようとすることの矛盾と嫌悪も隠しません。
「受賞のことば」は、儀礼的言辞を排して本音を記した〈作品〉でもありました。
(2018年10月24日)