【往還集143】37 蔵書

竹内オサム氏は長い間子ども文化・マンガ文化についての個人編集誌「ビランジ」を刊行してきました。近号で42冊目。
その号に川勝泰介氏が「蔵書の処分の仕方」という興味深い話題を提供しています。
長年の大学教師も退職目前、さて膨大な蔵書をどうするか。
何個所かの図書館は引き取ってくれた、絵本は幼稚園に寄贈できた、段ボール10箱の全集物は古書店に売却した。
なぜ売却したか、それは故上笙一郎(かみしょういちろう)氏の話を思い出したから。

「自分が死んだ後の蔵書は古書店に売却する。大学図書館に死蔵するよりは、必要とする人の手に渡った方がその本も活かされるだろうから」

児童文学研究家の上氏には私も面識がありますが、多くの貴重な文献の蒐集家でした。 
いかにも公共施設に寄贈しても大抵は箱で積まれたまま、「○○文庫」と名づけられて展示されるのは、ほんのごく1部だけが実態です。
(2018年9月25日)