【往還集143】33 『水曜日の本屋さん』

近くの広瀬図書館には子どもの本のコーナーがあります。
絵本もいっぱい。折々開いては「いい話だなあ、だれかに伝えたいなあ」というのに出会います。
そういうなかの1冊が『水曜日の本屋さん』(シルヴイ・ネーマン文、オリヴイエ・タレック絵、平岡敦訳 光村教育図書)。
おおよその筋書きを紹介します。
「水曜日は学校がお休み。私はいつも本屋さんへ行く。するとあのおじいさんも決まって店にいる」
「私は絵本が大好き。おじいさんの読むのは分厚い戦争の本」
「私は読みながらくすくす笑う。おじいさんは時々涙をふく」
「本屋のおねえさんに〈この本が売れてしまわなければいいけれど〉

「つぎの水曜日おじいさんはいない」
「そのつぎは来ている。〈この本がまだしばらく売れずにいてほしいね〉という」
「もうすぐ冬。店のなかは、クリスマスの飾りつけ」
「クリスマスまであと3日。おじいさんは店に入る。あの本がない」
(2018年9月8日)