「もともと無理やりつれ出された世界なんだ、
/生きてなやみのほか得るところ何があったか?/今は、何のために来(きた)り住みそして去るのやら/わかりもしないで、しぶしぶ世を去るのだ!」
こういう詩が出てくるのですから驚きです。
さて親鸞のほうですが、早暁書写として「教行信証」を終えた私は「和讃集」に入っています。
四行詩とするには異論もあるでしょうが、すべて4行で7・5の調子を基本としています。
「智慧の光明(くわうみやう)はかりなし/有量(うりやう)の諸相ことごとく/光暁(くわうけう)かふらぬものはなし/眞實明(しんじちみやう)に帰命せよ」
これは明らかに仏教の教えを4行形式にこめたものです。したがって一般的意味での詩とはいえない。
それなら経典なのかといえば75調にのせて朗詠する点で、そうともいいきれない。
だのに親鸞は、力をこめて相当数作っているのです。
(2018年8月26日)