ゲーテ『イタリア紀行』全3巻(相良守峰訳岩波文庫ワイド版)を少しずつ読んできて、やっと終わりました。
ローマ滞在がゲーテにいかに大きな影響を与えたかについて再認識しましたが、今取りあげようとするのはそのことでなく下巻の終り近くにひょいと書かれた文章です。
「植物は、たんなる生成と生長とによって無機物を摂取し、動物は、生成と生長と飲食とによって植物を摂取する。人間は、生成と生長と飲食とによって、動植物を自己の内的存在につくり変えてしまうのみでなく、同時に、自己の機構の下位にある一さいのものを、自己の存在の最も鮮やかに研ぎ澄まされ、反映するところの表面をとおして、自らの生存の範囲の中に把握し、(以下略)」
これだけの引用では不十分ですが、植物・動物・人間と段階をつけていることはわかります。
すべての生を同列に置く東洋的生命観との落差にしばし立ち止まったのです。
(2018年7月24日)