踊も終盤にさしかかったころ、会場席にいた人がいきなり立ち上がって口上をのべはじめます。
それが終ると今度は舞台の長老らしき人が中央に立って、お礼のことばを返します。
この構成はどの踊にも共通していました。前者が「褒め言葉」、後者が「返し言葉」です。
その1部を「湯本の田植踊」から紹介します。
「しん~暫くう~ 暫し止めし拙者には 東岳(あずま)が下の蛙めで 米の成る木をまだ知らぬ 米の成る木を知りたさに やっとやっと~
「只今御大勢御見物の御中様より どなた様やらは存じませぬが 滔々たる御弁舌をもって、お褒めの言葉を下しおかある段 誠にもって有り難き幸せに存じたあてまつる」
このようなセリフを、おどろくばかりに長々と交換し合う。まるでオペラのよう。
この構成はどのようにして形成されたのか、他の芸能にもあるどうか、大いに興味深いことです。機会を見つけて調べてみます。
(2018年6月30日)