【往還集143】1 100首会

中世の歌論集に「正徹物語」があります。その「七六」の出だしは

「初心の程は無尽に稽古すべき也

初心者の稽古のやり方を説いているのです。要約するとつぎのよう。
1夜に100首、1日に1000首詠む、逆に5、6日かけて5首2首詠む、このように駆け足でやるのも、手綱をひかえるようにやるのも上達の方法、最初からいい歌を作ろうとしたってそれはダメーー。
この1節に私は思い出しました。
まだ20代で結社「短歌人」に入会していたとき、松島で泊まりこみの東北歌会がありました。
その夜いきなり、主宰格の髙瀨一誌から「いまから100首会をやる、出来上がるまでは寝るな」という課題が与えられたのです。
歌会もはじめてなら100首会もはじめて。ビックリ仰天しながらも、用紙の表に1~50、裏に51~100まで番号をふりました。参加者40余人は、必死に作りはじめました。   
(2018年5月25日)