【往還集142】18 女人禁制

それは4月4日に舞鶴で起きた。
大相撲春巡業で挨拶に立った市長が突然倒れる。
駈け上がった女性数人が、心臓マッサージをはじめる。
すると「女性の方は土俵から降りてください」と館内放送。
女性たちは一瞬ひるむがマッサージをつづけ、市長も助かった。
テレビでくり返し放映され、私とっても大変印象的な場面になりました。
なんといってもとっさのことに救助に当たった姿が神々しかった。
基本的なことをいえば、さまざまな場面で伝統を守ることに私は否定的ではない。短歌形式などは古来の伝統そのもの。伝統の旧さに縛られながら、いかに新しくなれるかに賭けているともいえます。
けれどときには破調があってもいいし、土俵も人命がかかるときは例外があっていい。 
それに、あのとき土俵に上がった女性の方たちは、〈女性〉としてではなく、〈人間〉として、つまり性差を超えた存在としてだったと思います。
(2018年5月21日)