【往還集142】11 ネムの木イス

近くの公園にはネムの木があります。
引っ越してきた当初は、それほど大きくなかった。
年々丈を伸ばし、満開のときは薄紅色の大傘のようになります。
枝のふたわかれした根元も年々太くなり、腰を下すにちょうどいい具合になりました。 
私は、部屋で資料読みしたり、キーボード打ちしたりすることが多いので、気分転換によく公園に行きます。
秘かに「ネムの木イス」と名づけた、その根元に坐ります。
そして日差しを浴びたり、雲を眺めたり、子どもたちの遊ぶさまを楽しんだりします。子どもたちの数は多いときで15人、第2学童保育園の感じでいつしか顔なじみになります。
そんなことをくり返すうちに気づきました、子どもは6年生になったとたん姿を見せなくなることを。
「もう公園遊びは卒業
というわけです。成長するのはうれしい、けれど反面では寂しい。
そう、成長とはよろこびと同時にかなしみでもあります。
(2018年5月9日)