【往還集141】27 文学評論のはじまり

この『論集』は1961年が初版。つまり自分が学生になった日。
2年目から国語科を専攻するようになって、基礎的な資料として主要な所は読んできたのですが、久松潜一の「解説」は目に入らなかった。
再読して、びっくりしました。

「日本文学評論のうちで、歌論は最初に成立し、それ以後も近世までは歌論がその中心的位置を占めている。それは和歌が長く生命を支えてきたのと一致している。」

とある。
文学評論として最初!
評論といえば、現在はむずかしいものとしてとかく敬遠されています。
しかし1960年代、70年代は作品より評論が面白かった。
時代の大きな転換をとらえんとする気息は、評論のほうが熱かった。
その評論の先駆が歌論だったとは。
「新撰髄脳」から「無名抄」へと読み進めていくと、なるほど、かなり手厳しいやりとりをしている。風流どころではないと、私は身をのり出しはじめたのです。
(2018年4月12日)