【往還集141】19 賢治短歌

3月24日に岩手大学地域創生フオーラムが開かれる。
鼎談「賢治詩歌のこころを語る 岩手出身の詩人・歌人・俳人の立場から」に城戸朱理、照井翠両氏と共に登壇することになっています。
最近いよいよ出不精になっている自分ですが、岩手と賢治のことならと引受けたのです。かつて『賢治短歌へ』(洋々社)という本も出しているものですから。
ところが我が書ながら、どういうことを書いたかほぼ忘れている。
恥を忍んでこっそり読み返してみました。なんとこまごましたことを、300頁にもわたって書いたことだろうとあきれました。
これでは読む方が大変。刊行当時評価の低かったのも当然。
とはいえ、若き日の賢治の歌には改めて魅せられました。

「対岸に/人、石をつむ/人、石を/積めどさびしき/水銀の川」
「白樺の/かゞやく幹を剥ぎしかば/みどりの傷はうるほひ出でぬ。」

こういう独特の歌が続々と出てきます。
(2018年3月13日)