千葉由香さんは仙台の出版社「荒蝦夷」の有能な編集者。
『別冊東北学』に「小田原遊郭物語」を連載していました(2000年~2004年)。
遊郭や遊女といえば、はじめから特殊視あるいは興味本位でとりあげる例が多い。
性差別として男性社会批判の観点からとりあげることもある。
そういうなかで千葉さんは、遊郭の女性たちを等身大の存在として描くことに徹している。
「誤解を恐れずにいえば、身売りとか間引きがあたりまえだった時代は、命なんて今よりずっと安かったかもしれない。でも、一人ひとりの命の価値が低いというわけじゃない。歴史に名を残した人の命と価値は同じよ。」
このような聞き書きもしっかりと記し留めている。
この連載、貴重だから1冊にしてほしいと願ってきましたが、14年の時間をおいて、ついに単行本化されました。
苦界だからといって封印してはならない人間の書、それがこれです。
(2018年3月1日)