宮沢賢治はスゴイ!と賢治愛好者が口にするのはあたりまえのこと。
私もずいぶん長い間読んで書いてきました。けれど〈愛好者〉にくくられることには抵抗がある。ただの〈賢治関心者〉でよいと思ってきました。
そうではあるが、たしかに賢治はスゴイ。なにしろ〈賢治研究者〉でない人が本気で賢治を書いているのだから。
昨年は今野勉氏の『宮沢賢治の真実』(新潮社)。
そして今度は門井慶喜氏の『銀河鉄道の父』(講談社)。
ここでは後者に焦点を絞りますが、賢治の姿に臨場感があり、引きこまれました。
同時に注文もあります。
第1、妹トシの女学校時代の〈事件〉には一切ふれていない。
第2、東北砕石工場時代もとりあげていない。
第3、そのため「雨ニモマケズ」も花巻の病床で書いたことにしている。
特に砕石工場時代は父親の影が濃厚なのだから、父親に焦点を当てる小説であるならぜひとりあげてほしかった。
(2018年2月22日)