【往還集141】7 白鳥の群れしづかなり

「有効に使われるべき」と書いて、松平修文に思いは飛びました。
昨年11月23日に逝去した彼についてはすでに「往還集140-27」に記しました。 
新年になって「月光」54号に特集「追悼 松平修文」が組まれました。
それによると、本人がこれ以上の輸血は停止したいと主治医に申し出たと。
福島泰樹氏は「弔辞」のなかで、「若い患者を救うために、血液は大変貴重です」の一言が医師からあり、それが申し出のきっかけになったと推定しています。
医師との間にどういうやりとりがあったのかはわかりませんが、つぎの世代のために有効に使ってほしいと思うのは、松平修文の人柄からして自然のような気がします。
遺稿「よいいちにちを」を再読すると、

「湖面を移りゆく雲団を乱すことなし、白鳥の群れしづかなり」

があります。
すでに自分の行き着くところを見定め、心静かに受け入れようとする歌だと思いました。  
(2018年2月20日)