いつか読みたいと思ってきた本が、書庫には何十冊となく並んでいる。
赤茶けた学生時代の文庫本も。
昔の本はひどく活字が小さい。どうしても読みたいのは、費用をかけても拡大コピーすることになる。
けれどとてもこなしきれない。
リルケ『マルテの手記』、これは高校生のときに図書館で読んだ。けれど3分の1しかわからなかった。もう1度挑戦したい、高安国世訳とわかってから、なおさら。
ショーロホフ『静かなドン』、アラン『芸術論』、阿部次郎『三太郎の日記』、その他プルースト、チェーホフなどなど。
だのに時間は残酷、目の力は年々衰えていく。
もう諦めるほかないかと落ちこむ日々のつづいたある日、なんのまえぶれもなく閃きが生じました。
きっと死後の世界にも図書館はある、しかも言語の壁などない、完全共通語として。
図書館の名前も閃いた、「あの空文庫」。
私の気分は急に明るく、さわやかになったのです。
(2018年1月9日)