今日は大晦日。この1年間で特に印象的だったことを話題にします。私は『短歌』1月号から半年間「歌壇時評」を担当することになり、あれこれの本や雑誌を読んでいます。興味深いことがつぎつぎに見つかるのですが「この件は「往還集」でなく「時評」へまわそう」などと考えることもあります。けれど「往還集」と『短歌』の読者層が重なり合うわけではない、仕分けなどしないで書いていいのではないか。で、まず住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉文庫)についてふれます。ふだんはジュニア小説にまったく疎い自分。作者
はもとより文庫部門で年間ベストセラー第1位だとも知らなかった。だのになぜ手にしたかといえば、松村正直歌集の『風のおとうと』を考えていたから。この歌集には食に関わる不可思議な歌が出てくる。それらを読み解くヒントになる本がないかなあと探していた目に、いきなりーー。
(2017年12月31日)