最初の赴任校若柳高校は木造校舎。図書室は講堂を改造しただけの、薄暗くて陰気な部屋でした。
たまたま手にとった俳句講座の本に西東三鬼を見つけてびっくり仰天。さらに
尾崎放哉「墓のうらに廻る」
橋本夢道「うごけば寒い」
にはノックアウトされました。
俳句のイメージがすっかり覆されたのですから。
こういう句を短律または短律句ということをあとで知りました。
時はいきなり今の今。
西躰かずよしの『窓の海光』(風の花冠文庫)を読む機会を得ました。短律句集です。
「枕もとに置く夜の銃声」
「まぶしい声の背中だけある」
「あしのうら素足で確かめる」
「百合の折れてひかりへあるく」
「冬の旅終わり海へ帰る」
などなど。
短律句は、作者の境涯がわからないとイメージを固めにくい。
それを承知で表現をここに賭ける禁欲性また潔さ。
私はそれをヨシとする。
木造図書室の空気と短律が今でも重なり合います。
(2017年11月28日)