【往還集140】27 松平修文氏

今朝の新聞訃報欄に松平修文氏を見つけました。
直腸がん、71歳。
いきなり寂寥の底に蹴落とされた思い。
病と伴走していたことは王紅花個人誌「夏暦」でわかっていました。

「不治の病であろうが何であろうが、夫は毎日少しも休まずに仕事をする。既に別荘の周囲では、秋の花が咲き始めている。私も気をひきしめて、勉強してゆきたい。」(46号)

この号の発行は9月25日。
松平氏がこの6月に刊行した歌集『トウオネラ』にも

「現在(いま)為し得ることあらばせむ 身を病むことは既に忘れつ」
「ゐなくなるほかないのだな 街のどこへ行きても雨垂れのおと満ち満ちて」

など遠からぬ死を覚悟した歌があります。
彼の幻想性をたたえた作品世界は、他の追随を許さない不可思議さがいつでもありました。
さて、こちらの持ち時間もあとどれぐらいかは不明、以後可能なかぎり気をひきしめて勉強しようと思いました。
(2017年11月25日)