【往還集140】26 「誤字をさがせ」

私の職業は高校の国語教師でした。
学校には数回の考査があります。そのたびに監督が割り当てられる。
監督は暇。
時間つぶしに他教科の問題も見ることになります。
こういってはなんですが、けっこう誤字があるのです。特に多い先生のもわかります。しかし生徒は騒がない。
ただし国語の問題のときは1字のまちがいでも、鬼の首を取ったように大騒ぎする。「国語の先生だってうっかりミスはある」なんて弁解してもダメ。
その対抗策として「ボーナス問題」を最後に加えるようになりました。
わざと誤字をまぜて、

「問題文から誤字を見つけ、正しく訂正しなさい、すべて当てた人には10点加えます」

というのです。
この追加問題に生徒は夢中になりました。なかには正式の問題が難しいのでこの1問に賭けるのも出てきた。
副産物としてカンニングが激減。誤字探しに時間がかかり隣をのぞいたりする暇がなくなったからです。
(2017年11月23日)