【往還集140】22 100枚をめざして

「野の白鳥」は、日本版では「白鳥になった王子たち」と訳されています。刑場へ連行される場面も、城への幽閉にかえられているのが多いようです。
小学生のとき私が読んだのもこれでした。兄たちのかたびらを編み上げたとき、鉄格子の窓からサーッと放ってやる、たちまち人間に戻る11人。
この場面が気に入って長く記憶することになりました。
話は一気に飛躍します。
私が最初の手編みセーターを完成させたのは1987年です。
たちまちとりつかれてしまった自分、「よし、100枚編もう、達成したときにはサーッと放つ代わりに作品展をしよう」と思い立ちました。
このとき「野の白鳥」がイメージとしてあったのです、11枚どころか100枚を空中に放ったならどんなに爽快だろうと。
以来、オリジナルのデザインによる模様編みにはじまり、白バラ・ネコ・縄文・風景などなどの編みこみも作成していきました。
(2017年11月9日)