【往還集140】7 山下清展

山下清展へ。
今回で3回目です。1回目は水沢で。「岩手の鹿踊り」というペン画があり、山下自身が「岩手県水沢市へ展覧会に行った時鹿踊りを観に行きました。」と書いている。1956年制作とあるから自分が中学1年のとき。
このときの印象は忘れられません。
水沢にはギャラリーなどまだなかったから、会場は公民館。美術の授業を兼ねて大勢で行きました。
作品をまえにし、精緻な貼り絵にはびっくり、特に「長岡の花火」には息をのみ、以後しばらくは模倣さえしたのです。
今回もまたそれぞれの絵には魅せられましたが、有名人になってからのは、題材が広がったとはいうものの、なにか惨い。
そのかわり以前には気にもとめなかった、ごく初期の「あしなが蜂」「蝶々」「ほたる」などには、ほっとさせられました。
世間から注目を浴びるなど考えもしないこの頃、画家山下清にとって、一番幸せだったかもしれません。
(2017年9月27日)