【往還集139】49 不気味さ

Jアラートの報道は、新聞が間に合わなかった分テレビが終日大活躍。午後になるとさすがにうんざりしました。
画面には首相、防衛大臣、官房長官がつぎつぎに現れて、いかに由々しき事態であるかを緊張の面持ちで語る。
私はしだいに不気味さを感じてきました。北のミサイルが不気味というのではない、大騒ぎが茶番だからともちがう。
「大騒ぎしすぎる」とたしなめる野党も識者も、報道には一切登場しなかった。もし登場したら

「緊急事態だというのにお前は〈非国民〉か」

と怒鳴られんばかりの雰囲気が充満していた。つまり、危機であること以外の意見の入る余地のないほどに、報道は一方向へのみ走っていた。
それが不気味だと感じられたのです。
このように身動きのとれない状態にし、それをじわじわと積み重ね、いつしか全国民をがんじがらめの状態にする。
この国は戦中への橋を渡りはじめたのかもしれない。
(2017年8月30日)