【往還集139】45 自由な精神の持主・続

今野勉氏は私にとって未知の人ですが、読み進めながら、この人は自分に正直で人間としての豊かさもあると直感しました。
常に正当だから、というわけではない。まちがいも疑念も何度だって出る、けれど自己を隠蔽せず、合理化もせず、立ち止まってじっと考えては問題を深めるーーその姿勢から来ています。

「間違えないでいただきたいのは、私は倫理は要らないとか許容は要らないとか言いたいのではなくて、作り手が未知なるものへ挑戦していくとき、何をやっていいか、何をやっていけないのかの判断をするのに必要なものは、いかに自由な精神の持ち主でいられるかということである、そう肝に銘じたい、ということです。作り手は、自由な精神の持ち主でありたいものです。」

この一文、ドキュメンタリー領域を超えて、創造という行為の核心をついている。
私は4Bの鉛筆を取り出し、此処に太々と線を引きました。
(2017年8月15日)