【往還集139】35 「障がい」

「障害」でなく「障がい」が目につくようになったのは去年あたりから。
意図はわかる、「害」は人権侵害にあたるからダメと声があがり、ふむふむなるほどと公的機関が同調する。
けれど長年通用してきた「障害」が何の断りもなく替えられ、「障害」を使うとはけしからんみたいな風潮になるのは、おもしろくない。
「害」が悪いなら「障」はどうなのか、どうせならべつの用語を作ろうではないかと、どうして話は進まなかったのでしょう。
オリンピックが近づくにつれて「オリンピック・パラリンピック」を語ることが多くなってきました。
まるで「パラリンピック」を付け足したように。
そこに潜在するのは、無意識の差別。
全ての人は障害を負う可能性があるーーを前提とすればオリンピック選手といえどもパラリンピック選手の〈二軍〉です。
その観点があれば、上下関係でなく陸続きにすぎないと発想できるようになる。
(2017年7月26日)