【往還集139】34 「アカナワ」・続

反軍的兵士は戦地で処刑され、「名誉の戦死」として遺族に届けられたーーというのが、これまでの私の知識でした。
ところが「アカナワ」があった!
さっそく軍事用語集で調べ、パソコンでも調べたのですが、見当たらない。「赤繩(せきじょう)」ならある。ただし意味は唐の故事にもとづく、夫婦の縁。
もし、この用語をご存知の方おられましたら、ご教示ください。
胸を締め付けられるのは、「アカナワ」を受け取ったときの遺族、おそらく父母の描写です。

「中年のふたりの男女は、姿勢を固くして動かなかったが、憲兵が消え去ると、女は思い切ったようすで、小走りに骨箱にかけより角巻きに抱きこむようにして元の所へ戻った。そこへうずくまって背をふるわすと同時に、鋭い笛のような泣き声が流れた。終始、身動きひとつしなかった男は、やがてうなだれたまま、女を従えるように足どりも重く広場をはなれ去っていった。」
(2017年7月24日)