岩手県北部で八戸に近い北上山地に、軽米という町があります。
私はそこに行ったことがない。
だのに、なにかにつけてこの町の名が思われ、切なくさえなるのです。
北上山地は「日本のチベット」と呼ばれ、冷害、飢饉に苦しめられてきた地域。
軽米もその一つ。
大学4年のとき、教員採用試験がありました。私は岩手と宮城を受け、岩手はA採用、宮城はB採用。Aは必ず採用、Bはそれに準じるというのです。
しかし最初の赴任校の話は宮城県若柳高校から。
早く決めてしまったほうがいいと「諾」の返事をしました。
ところが1週間後に岩手県軽米高校からの打診が。
いつかは実家のある岩手県に帰る気持ちもあったので、順序が逆なら迷うことなく軽米を決めたはず。
しかし1週間の差でそうならなかった。
もし軽米が初任地なら、北上山地を肌で知り、多くの出会いもあったはず。
以来、とかく軽米が思われるのです。
(2017年7月23日)