
ネムの花、それは白の綿毛に、ピンクの綿毛の載った、天使のようなやさしい花――と今まではイメージしていました。
じっさい、ひとつひとつを見ると、天からふわふわと降ってきた稚児(ややこ)のようです。
ところがこの木は、意外と繁殖力が強い。
近くに公園が設置されたとき、数々の樹木が移植されました。
そのなかの1本がネムの木。年々大きくなり、あれあれというまに大木です。
花が終り、実をつけると、風に吹かれてあちこちに飛び、そこでまた芽を出していく。
苗木になったところを家のまえの傾斜地に移植したら、20年かけてこれまた大木になりはじめました。
丁度今が開花期で、いっぱいの花がまるで祭のような彩となっています。
それは、ソメイヨシノよりもはるかに華麗。
最もどきっとするのは、夕間暮れ時。
まわりが暗くなるにしたがって、華麗の域すら越え、鬼気迫るという感じになるのです。
(2017年7月13日)