【往還集139】28 また『ファウスト』のこと

高校2年のときの国語ノート。『ファウスト』について10数ページも書いていた。

「3『ファウスト』」
に、高校時代の国語教科書に一部分載っていて森鷗外訳だったと書きました。
ところが昨日書棚を整理していて、高校時代のノートを発見、2年生のときに習った痕跡を目の当りにしました。
それによると、森鷗外訳でなく高橋健二訳でした。
いやはや記憶なんていいかげんなものですね。
ただ先生が熱を入れて教えてくれたのは事実で、「天上の序曲」(森鷗外訳では「天上の序言」)だけで12頁もノートしていました。 
しかも「人間というものは努力している間は迷うものだ」などには赤線も引いてある。 
高2の連中をまえに、どうして先生はこんなにも情熱を傾けて教えてくれたのだろうかと、今になって驚くばかり。
もしかしたら先生、『ファウスト』ファンだったのかも、20歳から想を練り、82歳にして完成したというこの大作に。
しかもゲーテはさらに加筆しようとしたのだから、これまた驚きです。
(2017年7月7日)