私の西洋文物に関する知識はかなり貧弱。せめて主要な本は読んでいこうと思い立ったのは定年退職後。
時間の不足を嘆きながらも旧約、新訳、『新生』、『神曲』などなどへ挑戦してきました。
そして今日からはゲーテ『フアウスト』。
これは高校時代の国語教科書に一部載っていて、先生が熱を入れて朗読してくれた思い出があるのです。森鷗外訳でした。
幸い鷗外全集が手元にあります。900頁を越える分厚い1冊。
『神曲』の解説で平川祐弘が「過去千年間の最高傑作は何か」の問いを設定し、『神曲』と『フアウスト』をあげていました。
ところが第二次世界大戦をはさんで、ドイツ人は罪の意識にさいなまれ、ドイツ文化にも自信が持てなくなり、
「ゲーテの名声も衰え、『フアウスト』は選に洩れてしまった」
と書いています。
そんなことがあったとは知りませんでした。今日から朝読書として、ゆっくりゆっくり読んでいきます。
(2017年5月14日)