吉本隆明について、また書きます。
彼の論考に魅せられたのは学生時代からで、随分恩恵も受けてきました。短歌と宮沢賢治の分野でも同じこと。
それだけに原発に関する発言は、渦中にあるものとしては手痛かった。
最近吉本隆明全集が刊行されはじめた。今までになく立派なものです。
だのに購入する気になれない。
オマエってなんて了見の狭いヤツだと自分を責めたのですが。
もっとも彼の人間観、生活観には今でも信頼できるところがあります。
よしもとばなな『すばらしい日々』(幻冬舎)は吉本死後に刊行された随想集です。
そのなかの「テニスの教え」に、母親のただならぬ病気を知ったときのことが書かれています。
学生の日に友人に誘われてテニス教室に入ることになった。そのときに病気がわかる。これでは経済的にも大変だろうからテニス習うのやめようかと父親にいったらきっぱりしたことばが返ってきた。
(2017年3月17日)