【往還集138】29 高木市之助・続

花巻を拠点とする宮沢賢治学会で、賢治短歌の連続講座をやったことがあります。
私はコーディネーター役でしたから、これまでの評価史を説明しました。
高木市之助のいち早い評価についても紹介しました。
質疑の時間になったとき、原子朗氏が立ち上がり「高木市之助はもっと評価すべき人だ」と援護の弁を発してくれました。
さて、それにしてもまずは積みっぱなしの『国文学五十年』を、まず読まねば。
何だか固そうな題。
ところが先入観に反して、とても岩波新書とは思えないほどの柔らかい本でした。
というのも79歳の地点からの回想を、口述筆記する形にしているからです。
このなかでビビッと反応した1点をあげておきます。

「国文学という学問がこんなに創作的な才能から離れてもいいのか」

「教壇で注釈していれば先生も勤まるし、入試の参考書も結構「著述」していける。しかし「注釈」は実は創作の敵です。」
(2017年3月7日)